クリスマス・リスニングレッスン苦労裏話 – 思いがけない苦労

12月22日にクリスマス・リスニングレッスンをオンラインで提供しました。フランスの生のメディア映像を使った普段のナチュラルスピードのフランス語を聞く、という主旨のレッスンでしたが、そのために想像以上の苦労をしました。

大抵こういうオリジナル教材はアイデアができてから実際のレッスンプログラムを構築するのに手間がかかるので、大変なのは最初から分かっていたのですが、今回は思っていたよりはるかに時間がかかりました。

普段は、テレビを見ている時やたまたま見た動画などで面白いと思ったものを教材に使っています。つまり、これいいな、と思ってからそれをどう教材として使うのかを考えて作っていくわけで、探す手間はかかっていないのです。

今回は、なるべく新しい教材をレッスンで使いたいと思っていたので、クリスマス関連のドキュメンタリーが多い、クリスマス前の週末のニュースの中から教材を選ぼうと思っていました。初級者向けレッスンに使える面白いドキュメンタリーがあるだろうと、インターネットの録画視聴サービスも使いながらいろんなニュースをチェックし始めたのはレッスン数日前のことでした。つまりそれまで何をするかイメージだけがあって具体的な教材は決まっていなかった、ということです。ギリギリまで待ったのは通訳の出張があったという理由以外に、できるだけ最新のものを使いたいという気持ちがあったからです。

ところが、クリスマス直前の日曜日はサッカーのワールドカップの決勝戦。フランスが出場することが決まったので、その前からニュースはほぼサッカー一色になってしまいました。サッカーでフランスが躍進するのは嬉しいのですが、クリスマスのレッスンの教材開発には不利な状況でした。

Coupe du monde de football

そんな中でもいくつかクリスマス関連のニュースがありました。でもこれはいい、と思って見ていると、今年は電気代が値上がりしているので電飾は少なめにしたという市長のインタビューだったり、不況だからクリスマスプレゼントは安めに、と言う消費者インタビュー、普段より売れ行きが悪い、と嘆く商店主、などクリスマス関連とは言え、あまり明るい話が見つかりませんでした。素顔のフランスを見ていただきたい、という気持ちはあるので、それはそれで良いのですが、クリスマスらしい華やいだお祝いの気分や温かい雰囲気を味わっていただきたい、という思いもあるので節電や不況の話ばかりでは時事性はありますが、期待しているものからはかなり外れています。

クリスマス前の日曜日に至ってはワールドカップの決勝戦があったのでもうニュースはサッカーばかり。翌日月曜日は準優勝となったフランスチームが帰国したので、ファンの労いのメッセージやら選手のインタビューやらで12月19日なのにクリスマスはどこへ?という状態でした

フランス語リスニング準備

去年の映像を探してみましたが出てくる人が皆マスクをしていてコロナと絡めた扱い方で、コロナはもうあまり話題になっていない今年とは状況が違っていますし、話題に華やぎがないので使う気になれませんでした。

派手なものは要らない、現実的なものでいいんだけど、暗いイメージでないものがいい…と思いながら、ニュース映像の視聴にどれだけ時間を費やしたことか。使いたいと思うニュース映像がいくつか見つかったのはレッスンの2日前のことでした。

見つかったら見つかったで、これは毎回のことですが、面白いので全部説明したくなります。でもそれでは長すぎるので、ポイントをピックアップしてリスニング増強につながる要素をどう入れていくか考えるのにまた時間がかかります。

レッスンのマテリアルが完成したのは当日の朝で、本当に間に合って良かったです。

まずこういうリスニングレッスンをしようと思ったのは、フランス語をオンラインで教え始めて、想像以上に聞き取りができない、長年勉強していて知識はあるのに、知っていることが聞き取れない方が多いことに気づいたからです。日本にいる多くのフランス語学習者の方は普段、学習者用に作られた教材のフランス語を聞いて勉強しています。それが一般にナチュラルスピードに比べてイライラするぐらいの遅さなのです。そういうものだけを聞いていては実践では使えないと思います。

学習者用の録音であってもナチュラルスピードのものだけを使い、生のメディア映像で耳を鍛えようという考えで普段レッスンをしていますが、このレッスン準備は普段以上の苦労を伴いました。サッカーのワールドカップ決勝戦とウクライナ戦争による物価高という要素が重なったからです。来年は平和なクリスマスドキュメンタリーが多く放映されるのを祈っています。