フランスのハム屋さん

ちょっとした買い物が楽しい経験に

思いがけないちょっとした親切で嬉しい気持ちになることってありますよね。先日近所のスーパーに買い物に行ってそんな経験をしました。

いつもはハム類はパックした工業製品が冷蔵ケースに並んでいる中から自分で取るハム・ソーセージ売り場に行くのですが、その日はちょっと普段とは違う良い物を食べたい、という気分でした。そこでスーパー内のcharcuterie (豚肉加工食品店)に行きました。Charcuterieは独立店舗もありますが、ちょっと大きいスーパーだと店内にもあります。

ここだと陳列棚から自分で商品を取ってカートに入れるのではなく、お店の人とのやり取りがあって人間味がありますので、私はそれでまずちょっとリッチな気分になります。

冷蔵ケースにハムの塊が並んでいたので、その中の手前の1つを指して

Je voudrais six tranches de celui-ci, s’il vous plaît. (これを6枚お願いします)

と言いました。そうしたらお店の男の人が

Attention, c’est avec de la truffe. (トリュフが入っていますよ、いいですか。)

Pourquoi ? C’est spécial ? (どうしてですか。変わっているんですか?)

C’est bon. Vous aimez la truffe ?

Oui, je vais le gouter.

などのやりとりがあり、結局買うことにしたのですが、塊を取ってスライサーの方に持っていったその人は、

Si vous n’aimez pas, c’est dommage (好きじゃなかったら残念なので)

と言いながら紙のように極薄く切ったのを一切れカウンター越しにくれました。食べてみて美味しいと思ったのでやっぱり予定通り6枚買いました。スライスしてくれているのを待つ間、トリュフ入りだからやっぱり高いのかしら、と急に値段が気になり始めました。1kg当たりの値段は26ユーロで、一番安いのは15ユーロだったのでそれよりは高いですが、他に同じような値段のハムがいろいろあり、それだけが特別高いというわけではありませんでした。6枚切ってくれて包んで計って値段は8.80ユーロ。パックのハムを買ってもこれと同じような金額だと思うのでこちらの方がお得な気がしました。

旅行中に市場で買い物をするのが好きっていう方がいらっしゃいますよね。スーパーでも大きめのところはcharcuterie、fromagerie(チーズ屋), poissonnerie(魚屋)が店内にあって市場のようにお店の人と会話して買い物できます。接客するためにあるコーナーなので概ね親切です。市場での買い物の会話練習してきたのに時間がある日は市が立つ日じゃなかった、という場合はスーパーへどうぞ。

さて、このトリュフ入りのハム。黒い点々がトリュフです。一般のハムよりも薄めに切ってあり、口の中でとろけるような感じでした。トリュフはそんなにたくさん入っているわけではないですが、香りが漂って食欲を刺激します。簡単なものを付け合わせてもちょっと高級感のある食事になりました。トリュフは私にとってたまに食べると嬉しい食べ物です。毎日食べる必要はないですね。

この記事に関連するフランス語の解説

本文には出ていませんがハムはフランス語でjambon ジャンボン。数えられない男性名詞で部分冠詞をつけてdu jambonと言います。
例)Je prends du jambon.

Trancheは女性名詞なので1枚ならune tranche.

トリュフは数えられない女性名詞なので本文でもde la truffeとなっています。
le jambon truffé という言い方もあります。Trufféはトリュフが入った、という意味の形容詞です。

ハムやソーセージなどの豚肉加工品を扱う店はune charcuterieと言い、その店主や従業員はcharcutier、女性なら charcutière。

精肉店はune boucherie、肉屋さん(人)はun boucher、女性はune bouchère。フランス語は職業名に男女の区別があることが多いです。Boucher / bouchère男性の語尾が-er、女性では -èreになるのはパターンです。Charcutier / charcutièreもそうですね。

日本ならハム・ソーセージは肉屋さんが扱っていますよね。近い分野なのでフランスでも1軒で両方を兼ねていることがあります。そういう場合はboucherie-charcuterieと看板に書いてあります。