フランスの病院

フランスで初めて検査入院

先日、初めて病院で全身麻酔をしての検査を経験しました。検査後、麻酔から目覚めたら病室に移動して少し休憩して前日の夜から何も食べていないのでフランス語でcollation 呼ばれるおやつのような軽食が出て退院する、いわゆる日帰り入院です。フランス語ではambulatoireと呼ばれます。

検査の10日ぐらい前に麻酔科医とは面談していて、その前に担当医と会った時にも検査前の注意事項などの説明を受けていました。特に不安はなかったのですが、病院のスタッフが皆、親切で安心できました。

朝7時と言われていたので時間通りに病院に着いて、指示に従って病院指定の使い捨ての変な服に着替えて私服や私物を鍵のかかるロッカーに預けて待合室に行きました。目が悪いのに眼鏡もコンタクトも禁止なので良く見えずちょっと辛かったのですが、介護スタッフや看護師の方から折に触れて
Ça va ?  サヴァ?
とか
Vous allez bien ? ヴザレビヤン?
と声をかけられました。これはフランス語を習い始めるとすぐに習う挨拶の言葉で「元気ですか」という意味だと教えられるのが一般的ですが、このように様子を聞くときにも使えます。フランス旅行中や住み始めて間もなくフランス語がまだ拙いうちに事故や病気で病院のお世話になることもあるかもしれません。そんな時もこの挨拶を知っていれば少しは不安が和らぐのではないでしょうか。
問題なければ
Oui
と答えれば良いです。どこかが痛いとか具合が悪いときは
Non, j’ai mal ici  ノン、ジェマルイシ(いいえ、ここが痛いです)と手で示すと良いでしょう。
あるいは吐く真似をしたりすれば通じると思います。
私は単なる検査で元々病気ではないのでOuiと答えました。

フランスのお医者さん

検査の行われる手術室のような部屋で、前にあったことがある担当医と麻酔科医(どちらも朗らかで感じの良い先生です)が挨拶してくれましたが二人ともマスクをしていて最初良く分かりませんでした。話し方でやっと誰か分かりました。

麻酔科医の先生が鼻に管をつけたのですが、それがちょっと痛いので

J’ai un peu mal  (ちょっと痛い

と文句を言ったらすぐに少し緩めて痛くないようにしてくれました。我慢できる程度でしたがしばらく続くでしょうし、後で目覚めたらすごく痛くなっていたら嫌ですから、言える時に文句を言っておこう、と思ったのです。

検査が始まる前に担当医から「後でsalle de réveil(麻酔から覚醒するまでの患者を集めている部屋)に見に行きますからね、その時間がなかったらchambre(一般には寝室ですがここでは病室)に伺います」と言われました。

その後、salle de réveilで目が覚め、他の患者さんに話しかけている看護師さんの声を聴きながらぼんやりしていると私のところにも看護師さんが来てまた

Ça va ?

と聞かれたので

J’ai un peu mal à la tête (ちょっと頭が痛い)

と訴えたら、
Alors, je vous donne de l’Efferalgan. (じゃあエフェラルガンをあげましょう)

と言われました。Efferalgan は頭痛や発熱時に使うよく知られた市販薬で水に溶かすタイプのものをくれるのか、と思ったらまだ腕についていた管につなげて液体でくれました。

C’est comme ça ?
(こういうのなんですか)

と驚いていたら麻酔したからすぐに飲めないし、この方が早く効く、と言われて、私の苦痛が減るように考えてくれているんだ、と思って有難い気持ちになりました。

フランスの病院内

しばらくしたら先生がやってきました。検査は問題なかった、という簡単な説明を受け、ベッドから車椅子に自分で立って乗り換えて病室へ。Collationはコーヒー、紅茶など、好みを聞かれて、すぐに持ってきてくれました。飛行機の国内線のエコノミークラスで出るcollationよりずっと量が多かったですが全部食べてしまいました。

全身麻酔をしているので付き添いなしの帰宅は許可できないと言われていて、夫は都合がつかなかったので娘に迎えに来てもらうように頼んでありました。ただ午後になると思っていた退院が午前中になることが分かりました。病室にはいられないそうで(他に患者さんがいますよね)待合室で待つように言われたのですが、他の人もいる待合室で長時間待つのも苦痛です。そこで

Il n’y a vraiment pas de moyen pour sortir seule ? J’habite pas loin d’ici. Je ne peux pas prendre un taxi ?
(本当に一人で退院できないんですか。近くに住んでるんです。タクシーに乗っちゃけないんですか。)

と聞いてみたら係りの人が上司に確認に行ってくれて、結局タクシーを手配してくれました。タクシーが11時に来ますってことでそれに合わせて待合室まで案内してもらい、ほぼ待つことなく運転手さんが待合室に迎えに来てくれたので助かりました。本当にいろいろな方に親切にしていただきました。

フランスの医療って悪くないと思います。病気だからあれもダメ、これもダメ、ということにはならず、やりたいことができるようにしてくれる印象があります。

次の検査は5年後だとか。またこの病院でお世話になるつもりです。(写真はイメージです。)

Ambulatoireと通常呼ばれる日帰り入院は正式にはhospitalisation en ambulatoireと言うそうで、12時間以内に退院するケースを指すそうです。

病院をフランス語でどういうか、ですが、un hôpital オピタルは公立の病院。私立の病院は une cliniqueクリニックと言います。他にCHUセーアッシュユーというのがあり、こちらは大学病院。Centre hospitalier universitaireの略です。

旅先で必要になるかもしれない医療関連のフランス語については、外務省発行の資料があります。印刷してお持ちになると、もしもの時に役にたつかもしれません。
もしもの時の医療フランス語」