イースターのウサギ

復活祭に思う ― フランス語のPâques、なぜ複数形? ― フランス語のメディアの記事

復活祭を祝う言葉、Joyeuses Pâques。フランス語で復活祭はPâques(パックと発音)と言いますが、その昔、大学でこの単語を習った時、「大文字ですよ、アクサンがつきます、複数形です」と言われたのをおぼろげながら覚えています。その時になんで複数形?と思ったのですが、インターネットもない当時、疑問解決の努力もせず、その後もこの時期が来ると変だな~と思っていました。でも今日、ついに決意して検索し、ネットで記事をいくつか読みました。フランスのメディアの記事を読みたい方のためにフランス語の関連記事へのリンクもつけています。

もともとはユダヤ教の言葉だったらしいですが数世紀の間に、単数、複数、綴りの変更が何度も行われ、男性名詞なのか女性名なのかも時代によって変化し、今の形(女性名詞、複数)になったのだそうです。語源はややこしく、ヘブライ語から借用したギリシャ語の単語をさらに借用してラテン語で用いられたPascha(元々あったsが消えるとアクサンシルコンフレックス(^)が付くと大学で同じく習いましたのでここにsが入っているのは納得がいきます)が語源だとか。

単数形のPâqueはユダヤ教のお祭りで日本語では過越の祭というらしいです(ユダヤ文化に疎い私にはあまりピンと来ませんが)。旧約聖書の出エジプト記に出てくるヘブライ人の出エジプトを記念するお祭りですが、このお祭りを指すと同時にお祭りで使われる生贄の子羊も指すと辞書に書かれていました。キリスト教では、この生贄の子羊が人間のために血を流したキリストを表しているのだそうです。

フィガロの記事によるとユダヤ教のお祭りとキリスト教のお祭りを意味的に区別し始めたのは15世紀以降で、Pâque(単数)とキリスト教のお祭りPâques(複数)の区別が出てきたの18世紀なのだろうですがCNRTL (Le Centre national de ressources textuelles et lexicales、という国の機関)によると、カトリック教会でも単数のPâqueをキリストを表すのに使うこともあるのだそう。

しかしいろいろ読みましたが、Sがついている理由は、あえて言えばユダヤ教のお祭りとの区別というしかないようですがなぜ複数なのか不明ですし、他に区別する方法が全然なかったのか、と思わないでもなく、納得いかないです。記事の一つには、複数にすることでこの時期の他のキリスト教のイベント(聖餐式、受難、磔刑など)を彷彿させるとありましたが、後付けであり理由ではないですよね。

Agneau pascal(過越祭の子羊)という言葉を見て、「復活祭の」という形容詞はpascal (e)であることを思い出しました。私の知り合いにも何人かいますが、ファーストネームにもなっていて、男の子はPascal、女の子はPascaleですが、今は流行の名前ではなく私の知りあいもこの名前の人は全員50代後半以上です。伝統的には復活祭の頃に生まれた人につける名前だそうです。

イースター島はフランス語ではL’île de Pâquesと言います。発見されたのが復活祭の日だったからこの名前になったようです。

参考:
Pâques ou Pâque: à chaque religion son orthographe
Pâque et Pâques
Pâques : pourquoi mettre un S au mot Pâques ?